福島・大狭健一さんのテキスタイルスタジオ訪問
東京から新幹線で約1時間半の福島駅へ向かい、織物職人・大狭健一(おおはざま けんいち)さんに迎えられ、彼の自宅兼スタジオを訪れました。
スタジオに一歩足を踏み入れると、それは想像を超える世界でした。古い織機が何台も並び、色とりどりの糸が棚いっぱいに積まれており、まるで時がゆっくりと止まったかのような静けさが漂っていました。
大狭さんによれば、使われている織機はすべて**昭和時代(1926〜1989年)**のもので、日本の織物産業がかつてどれほど活気に満ちていたかを感じさせます。何千本もの糸の組み合わせによって布が織り成される様子は、シンプルでありながら日常ではなかなか意識することのない織物の本質を見せてくれました。
糸の組み合わせや織り方によって、布の表情、厚み、質感がまったく変わることも教わりました。大狭さんは、これまで何十年にも渡って制作してきた布のサンプルや、師である柳悦孝(やなぎ よしたか)氏のスケッチブックなども見せてくれ、それはまるで小さな織物史のミュージアムのようでした。
筆者は、大狭さんが単なる職人ではなくアーティストのようだと感じ、その言葉を伝えると大狭さんは照れながら笑いました。柳氏から聞いたという話も印象的で、「たとえテーブルの上の一枚のお皿を見ても、そこから十以上のデザインのアイデアが浮かぶ」というその視点は、現代では希少で刺激的だと感じました。
この訪問を通して、「民藝とは何か」「手仕事とは何か」、そして伝統と現代をどうつなげていくべきかということを深く考える貴重な時間となりました。帰り際、大狭さんは笑顔で「なんでも作れるから!」と言い、この言葉を胸に、彼の布とLink Collectiveとの新しいコラボレーションが始まろうとしています。