Hannah Waldron コラボレーション暖簾
イギリス人アーティスト、ハンナ・ワードロンとのコラボーレションにより、島根県の出雲地方に伝わる伝統染色技法「筒描き」(つつがき)を使い、職人さんが1枚1枚丁寧に藍染で染め上げた暖簾をローンチしました。
イギリスから来日したハンナが成田へ到着したその足で羽田空港に移動。東京で活躍する写真家、マーティン・ホルトカンプと共に羽田空港から約1時間半の飛行時間で島根県へ渡りました。田園風景が美しい出雲平野。出雲駅から徒歩数分の場所にある長田染工場。隣には小さな川「高瀬川」が流れており、そこで糊を洗い流すという昔ながらの技法も受け継がれています。
長田染工場さんの歴史は古く、明治20年に創業、現在の長田茂伸さんは四代目です。当時は何十軒もあった工場も今では出雲市では長田さんの工場が1軒だけ。筒描きの伝統技法を直接見学する事ができるとても貴重な場所です。 長田染工場さんで受け継がれる筒描技法は、現在長田さんを含めて全国で2〜3軒ほど。
柿渋で作った絞り袋の様な形をしたチューブの中に、餅米を練って作った糊をいれ、模様通りに丁寧に生地の上にのせていきます。糊の部分に藍を染み込ませない事で糊を生地から剥がした後、白く美しい模様が浮かび上がります。 次に美しい藍色に染めてゆく過程を見せてもらいました。蓼藍という植物を発酵させる事で美しい青色に染め上げる為の藍染の原料を作ります。藍色に染めていく作業はかなりの手間がかかります。まずは初めに染める作業が3〜4回あり、その後さらに藍で色をつけ乾かす作業を3〜4回、仕上げの染めを4〜5回繰り返します。今回のハンナの作品は、微妙なグラデーションをつけている為に、染める時間を繊細に調整する事が必要で、まさに職人さんの技が仕上がりに影響します。出来上がるまでどの様になるか分からない、常に同じものはない、との長田さんの言葉がとても印象的でした。こうして1枚1枚丁寧に時間をかけて染め上げていった筒描き暖簾。職人さんとアーティストのコラボレーションにより、繊細な水玉模様と、大胆な朱色のコントラストが印象的なモダンな暖簾に仕上がりました。
商品の詳細はこちらから。穏やかな日本の原風景が残る街、出雲市にある小さな染色工場。 出来るだけ長く、筒描きという伝統的な技法を守りながら良い商品を作っていく事が何よりの目標とおっしゃっていた長田さん。事前に予約をすれば制作過程を見学する事ができ、長田さんの丁寧な説明と共に、日本に残る貴重な伝統技術を使った染色の制作過程を見る事ができます。
長田染工場 : 〒693-0011 島根県出雲市大津町1,109 / TEL.0853-21-0288
ハンナ自身による工場見学の記録はこちら (英語)
Design : Hannah Waldron / Photo : Martin Holtkamp